「地方公務員になりたいけどどんな種類があるの?」
「問題集に地方上級とか地方初級って書いてあったけどどんな違いがあるの?」
このような疑問を持っている方、多いのではないでしょうか。
実際、現役公務員の方でも理解できている人は少ないと思いますので、これから公務員になろうとしている方は、知らなくて当たり前です。
地方公務員といっても、皆さんが一番想像しやすい行政職から免許を取得していないとなれない医師・保健師等、非常にたくさんの種類があります。
当記事では、このような疑問をお持ちの方に向けて、地方公務員試験の種類や試験区分について詳しく解説していきます。
地方公務員試験の仕組み
地方公務員になるためには合格しなければならない試験、その名も「地方公務員試験」の実施主体や試験の種類について解説していきます。
試験の実施主体
地方公務員の場合、都道府県、政令指定都市、市町村ごとに試験が実施されています。
なお、以下のとおり、人事委員会が置かれている都道府県と政令指定都市、人事委員会が置かれていない市町村とで採用に至るまでのステップが少し異なります。
・都道府県・政令指定都市の場合
- 人事委員会による試験 → 最終合格 → 採用課の採用面接 → 採用
- ※ただし、採用課の面接は形式的なものなので、人事委員会による試験で最終合格した人は、ほぼ100%と思って大丈夫です。
・市町村の場合
- 採用課による試験 → 最終合格 → 採用
試験の種類
試験の種類は以下のとおりです。
- 事務職(事務的な作業をする職員をイメージしてください)
- 技術系(道路や河川管理等、外仕事をする職員をイメージしてください)
- 公安系(警察官、消防官)
- 資格免許職(栄養士、社会福祉士、保育士、保健師、看護師等)
- 技能・労務職(清掃作業員、公用バス運転手等)
このように地方公務員試験といっても、その種類は多岐にわたります。
また、試験の種類ごとに試験問題、面接回数、採用人数、採用倍率等も異なりますので、事前にその特徴を調査しておくことが必要ですが、基本的には以下のとおりです。
- 採用人数が一番多い → 事務職
- 採用人数が一番少ない → 資格免許職、技能・労務職
- 採用倍率が一番高い → 資格免許職
- 採用倍率が一番低い → 技術系
試験の受験費用
資格試験や入学試験と違って、無料で受けられます。
無料で受けられるので、理論上は試験日程が被っていなければ、複数の自治体の試験を受験することができますが、実際は同じ日程で試験を実施している自治体が多いです。その理由は以下で説明します。
試験日程
「試験日が被っていて、併願がかけられない・・・」と嘆いている方がかなりいそうですが・・・
そうなんです。原則、1次試験(学科試験)は同じ日程で実施されているのです。
同じ日程で実施している理由は、多くの地方自治体が、学科試験の問題作成・採点を「日本人事試験研究センター」に委託しているからです。
※日本人事試験研究センターについて知りたい方は、こちらをクリックし当センターのホームページをご覧ください。
ただし、独自に問題を作成している東京都や特別区とは試験日程が被ることはないと思いますので、併願も可能です。
さらに、東京都や特別区の試験は、他の地方自治体よりも先に試験が開催されていることが多く、試験慣れする意味でも東京都や特別区の試験を受けておくのは効果があります。実際に私も特別区試験を受験することで、第一志望だった自治体の学科試験でも変な緊張をすることなく合格することができました。
ちなみに、同じ日程で開催されている試験とは別に、職員の追加募集をしている自治体も結構あります。
自治体を選ばなければ、常にどこかしらの自治体が職員を募集していますので、インターネットや学校の就職部などを活用するなどアンテナを立てておくのがいいでしょう。
受験する自治体の居住者は試験に有利になるのか
「受験する自治体に居住していない部外者よりも、居住している人の方が試験に合格しやすいのではないか。」
このように思う方に向けて、その不安を解消しておきます。
結論です。
「居住しているかどうかで有利不利になることはない」
しかし、以下のようなロジックから、合格しやすくなることはあるでしょう。
居住している → 市町村の概要やまちづくり等に関する取組に関してよく知っている → 職員としてやりたいことが具体的に決まっている → 面接で職員としてやりたいことが明確に答えられる → 面接の成績が良い → 合格
です。
つまり、居住していなければ、それなりのリサーチをすれば対応できるということですね。
むしろ、「この人住民でないのによく知っているな。本当にここの職員になりたいんだ。」ということを面接官に思ってもらえるはずです。
ちなみに、自治体によっては
- 居住者に限る
- 1時間以内で通えるもの
等の受験要件があるところもありますので、よく確認しておきましょう。
地方上級、中級、初級の違い
書店におかれている公務員試験の参考書を見ると、「地方上級」、「地方中級」、「地方初級」と記載されていますよね。
地方公務員試験は「上級」、「中級」、「初級」の3つに分けることができます。
- 上級 → 大学卒業程度の試験
- 中級 → 短大・専門学校卒業程度の試験
- 初級 → 高校卒業程度
上記のとおり、試験の難易度で分かれていますが、あくまでも試験の目安で、学歴は関係ありません。
高卒でも、上級試験を受験できるし、合格すれば上級の職員になれるということです。
ちなみに、自治体によっては、上級を1種、中級を2種、初級を3種と呼んでいるところもあります。
試験の出題タイプと試験内容の違い
試験区分(上級、中級、初級)によって、以下のとおり試験の出題タイプや試験内容が異なっています。
地方上級の試験タイプ
試験対象者は、大卒程度区分として分類されており、30歳前後を区切りとする年齢制限が一般的にはあります。
地方上級試験は、上級、中級、初級の中ではも一番難易度が高く、国家公務員試験の一般職と同程度の難易度と言ってもおかしくなく、予備校に通うなどしてしっかりとした対策をする必要があります。
なお、地方上級試験はその出題内容によっていくつかのタイプに分けられます。
受験予定の自治体がどのタイプか、事前に確認しておく必要があります。
全国型・全国型変形タイプ
最も多くの自治体がこのタイプで、地方上級試験の基礎となっている出題形式です。
変形タイプはこれに独自の出題や科目を加えたものです。
関東型・関東型変形タイプ
教養・専門試験ともに選択回答制を採用しています。
関東地方の県に多いタイプです。
中部・北陸型タイプ
教養試験が必須回答、専門試験が選択回答になっています。
中部・北陸地方の県に多いタイプです。
法律・経済専門タイプ
法律や経済のウエイトをそれぞれ高めたものです。
独自の出題タイプ
東京都・特別区のほかにもいくつかの自治体が特徴を持った試験を実施しています。
地方中級の試験タイプ
試験対象者は、短大卒程度区分として分類されており、25歳前後を区切りとする年齢制限が一般的にはあります。
地方中級試験には、第一次試験が地方上級と同日に行われる6月タイプと、地方初級と同日に行われる9月タイプがあって、それぞれ地方上級、地方初級と一部の問題が同一になっています(独自日程の自治体もあります。)。
ただし、資格免許職の地方中級試験は、自治体によって試験科目・方法がかなり違っていますので、注意が必要です。
地方初級の試験タイプ
試験対象者は、高卒程度区分として分類されており、21歳を上限とする年齢制限が一般的にはあります。
地方初級試験は、第一次試験が例年9月下旬の同日に一斉に行われていて、ほぼ同じ問題が出題されています(東京都と特別区はここでも違う問題が出題されています。)。
まとめ
以上、この記事では、地方公務員の種類や試験区分、地方上級試験、中級試験、初級試験の違いについて解説しました。
上記で解説したとおり、高卒でも地方上級試験を受験できることもあります。
しっかりと受験予定の自治体のホームページ等で、受験要件を確認してください。
また、受験する自治体によって試験の出題タイプが異なっています。
出題タイプや試験内容をよく確認したうえで学習を始めるようにしましょうね。